物語りをともにつむぐ、九十九社
お茶時間を もっとたのしく
静岡の中心からは少し離れた地、西部地区浜松に居を定めたのは1931年。
小さな写真館として創業し、コマーシャルフォト、印刷業と、広告を生業に営んできた私たちが91年の時を経て新たに立ち上げたプロジェクトが“お茶を扱う事業”になったのは、甚だ意外でありました。
しかし、長きに渡り静岡の地で歩んできたからこそ、ここに巡り合えたのではないかとも感じています。
私たちが歩んできた静岡の「お茶」と「印刷」には物語りがあります。
静岡の印刷は、江戸時代「駿河版」という日本最初の鋳造銅活版による印刷からはじまります。その印刷手法が受け継がれていく中、明治32年に清水港が開かれ、静岡茶の輸出が盛んになっていきました。
日本のお茶、静岡のお茶を知らない異国の方々に親しみを持ってもらうにはどうすればよいのか。そこで作られたのが「蘭字」でした。
蘭字とは、明治初期から昭和の初めにかけて輸出用茶箱に貼られていた商標ラベルのことをいいます。浮世絵師によって描かれたそのモダンなデザインは、異国の人々の心を掴み、日本のグラフィックデザインの先駆けともいえるものでした。
お茶栽培に適した土地、江戸時代からの印刷手法、そして浮世絵師による麗しいデザイン。これらの三つが整って、
工夫を凝らした静岡のお茶は世界の国々へと届けられ、人とお茶が交わる時間を紡いできたのです。
想いを込めて創られた「モノ」には、「物語り」があります。
その物語りは、人の想いそのものです。
私たち「九十九社」は、その想いをしっかりと受けとめ、数多ある物語りのひとつを新しい物語りとしてつむぎ、あなたの元へお届けします。